2006/12/31

「さよならチョッパー」


チョッパーは普段は床にペタンと伏せていますが、たいてい前足をクロスさせてその上に顔をのっけて上目づかいにこちらを見ています。その憂いを含んだ表情は何ともいえません。なみだ目がちの二つのつぶらな瞳と黒い鼻先が三角形に並んでいます。

そんなチョッパー、ライオンのような『たてがみ』が特徴ですが、寝そべっていると一見モップかと思ってしまいます・・・。

集団生活が大好きな犬は、誰かと一緒にいないとさみしくて耐えられないようです。チョッパーのご主人はうちのカミサンです。外出すると帰ってくるまで玄関のほうを向いて待っています。そして物音をいち早く察知してのお出迎え。もううれしくてたまりません!



4本の足を身体の下に隠してしまうとこんな感じ。あれっ、これって猫のポーズじゃないの?猫のロビンの影響?

チョッパーの動きには「無駄」が多く落ち着きがありません。愛玩犬の特徴なのでしょうか、走るときはいちいちその場で2・3回飛び跳ねるようにしてから走り始めます。子供の頃、よくテレビで見た記憶がありますが、ディズニーアニメで犬が走り出すときにその場で足がタイヤのようにグルグルまわってから走り出す、まさにあのイメージ!ここからきているのかなーと思うくらい雰囲気が出てるんですよね。





ある日の夜、いつものように寝室で寝ていたときのこと、明け方、急にチョッパーが暴れだしました。横向きに倒れたままで四本の足をばたつかせ、口からは泡を吹いています・・・。何が起こったのかわかりませんでした。そのうちに納まりましたが、まだひくひくと痙攣しています。目はしっかりと開いています。

すぐ病院へ連れて行って先生に診てもらいましたが、どうやら『てんかん』ではないかという診断でした。てんかんの犬は結構いるらしく、ある人の飼っているドーベルマンもそうだとのことでした。ポメのてんかんでこんなに大騒ぎするのにドーベルマンだったらいったいどうなるんだ・・・と心配しましたが、その犬は薬を飲んでいるので発作は起きないとのこと。うーん、あんまり薬も飲ませたくないし・・・しばらく様子を見ようということになりました。

てんかんが起きると、猫のロビンは心配そうにチョッパーのそばで見守っています。顔をのぞき込んだり毛をぺろぺろと舐めたり、彼女なり方法での精一杯看病しているようです。普段クールな彼女ですが動物的な本能というか、母性というか、一緒に生活している家族愛?なのかわかりませんが、そんなものがきちんと備わっているんだなぁと関心させられます。

その後何度か発作が起きたこともあり、ちょっと薬を飲ませてみようということになりました。継続して飲ませなければならないとのことで、長い目で見ると結構出費もバカになりません。てんかんって生まれつきだからペットショップでわかるんじゃないの・・・。

そんなはなしも出ましたが、なんといってもカミサンと運命(前世では何か関係があるらしいのだ!?)の出会いをしたチョッパー。俺たちが面倒みてやるぜ!!


てんかんの薬を飲ませると発作は起きなくなりました。大好物のスライスチーズに包んであげると、うれしくてもう大変・・・。これを餌に『お座り』と『待て』をモノにしました。

はじめは1日1回だったものを次第に間隔を空けるようにして、最近では1週間以上あけても大丈夫です。もともと発作のとき以外はなんともなく、発作が収まるとまた元に戻る感じでしたが、それでもつらそうな顔は見たくないもんね・・・。




2006年11月のある夜、仕事から帰ったときのこと、チョッパーのいつものお出迎えがありません。どうしたのかな?と思ったら、元気なく床に寝転んでいます。近付くとゆっくりと顔を持ち上げました。のぞき込んで見ると、口のまわりの毛が固まったよだれで少し汚れています。これは日中にてんかんの発作を起こしたな・・・と思いました。最近は調子がよく、薬の間隔も結構空けていたらしいのですが、久しぶりの発作でした。

声をかけるといつものように後ろ足で立ち上がり、前足で私のひざの辺りをかりかりとこすります。抱き上げるといつものように私の上着に顔をうずめ、それから私の顔を見上げ、また顔をうずめます。少し元気はありませんがいつもの仕草です。発作の後で疲れたのかなと思いました。いつもはしばらくすると何事もなかったかのように回復するのですが、その日はなんとなく気になったので、しばらく抱いたまま頭をなでてやっていました。

その日の夜中、チョッパーはやたらと鳴きました。普段は1階でロビンと二人で寝ています。たまに吠えることもありましたが、この日はなかなか鳴きやみません。カミサンが2階につれてくると静かになりました。いつもなら1階に残したロビンのことが気になりまた鳴くので、結局1階に戻すことになるのですが、この日はなぜか2階で静かに寝ていました。

チョッパーは掛け布団の上で横になっていました。そのままどのくらい時間がたったのでしょうか、彼はまた発作を起こしました。いつもとは違い短い発作のようでした。でもすぐに納まったようなので特に気にはしませんでした。

明け方、カミサンの 「チョッパーが息してない!」という言葉に私は飛び起きました。まるで眠っているようにしか見えないチョッパー。彼の鼻に耳を近づけましたが、確かに息をしていませんでした。今にもむくっと起き上がりそうな感じではありましたが、確かに彼はもう生きてはいませんでした・・・。
2006年11月のある日、我家の家族チョッパー、3歳と1月足らずの短い短い一生を終えました・・・。




病院では心臓が弱いといわれていたので、長生きはしないんだろうなぁと覚悟はしていました。それにしてもまだ3才になったばかり。あまりにも早い、そしてあまりにも突然の死にやりきれない気持ちでいっぱいです。

ペットショップでのカミサンとの運命的な出会いから2年半、短い時間ではありましたが人生の大部分を我家で過ごしたチョッパー。彼なりに精一杯生き、精一杯愛情を受け、しあわせな一生だったに違いないと思うこと・・・。今の私にはそれしかできません。

ロビンはチョッパーの死をわかっているのかどうか・・・しばらくは普段と変わらずにすごしていましたが、2・3日してから、やたらと鳴いていました。




今の我家は家族を一人失い、前よりもなんとなく静かになりました。いつものように私を出迎え、上着の中にもぐりこみ、丸まりながら私の顔を見上げる、あのうるんだ黒い瞳はもう2度と見ることはできません・・・。

本当に大切なものって、失って初めて気がつくものなんですね。普段はそれが当たり前だと思っていても、家族といっしょに何げない生活そのものを送れることが、実は一番しあわせなんだなあと感じるようになりました。生きているものはやがて死んでいきます。それがいつなのかは誰にもわかりません。愛するものには愛情をそそぎ、日々の生活を送れることをありがたく思う気持ち・・・最近の日本人に少し欠けているのではないか、と思う気持ちに気付かせてくれた、そんな彼の死でした。

「きっと生まれ変わって、また我家に
やって来ると信じてるぜ!」 (涙)


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