2003/12/31

「世界がもし100人の村だったら」のすごいスケール感

Eメールにのって世界中に広がったこの話。ご存知の方もたくさんいるでしょう。朝日新聞の天声人語で紹介され、NHKでも「100人の地球村」というタイトルで番組が放映されました。自分のまわりにいる100人だと思って読んでみると、世界の今の状況をイメージすることができます。

作者不詳 訳 なかのひろみ
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もし、現在の人類統計比率をきちんと盛り込んで、
全世界を100人の村に縮小するとどうなるでしょう。

その村には・・・
57人のアジア人
21人のヨーロッパ人
14人の南北アメリカ人
8人のアフリカ人がいます

52人が女性です
48人が男性です 

70人が有色人種で
30人が白人です。

70人がキリスト教以外の人で
30人がキリスト教

89人が異性愛者で
11人が同性愛者です。

6人が全世界の富の59%を所有し、その6人ともがアメリカ国籍です。

80人は標準以下の居住環境に住み
70人は文字が読めません
50人は栄養失調に苦しみ
1人が瀕死の状態にあり
1人はいま、生まれようとしています
1人は(そう、たった1人)は大学の教育を受け
そして 1人だけがコンピューターを所有しています。

もしこのように、縮小された全体図から私達の世界を見るなら、相手をあるがままに受け入れること、自分と違う人を理解すること、そして、そういう事実を知るための教育がいかに必要かは火をみるよりあきらかです。

また、次のような視点からもじっくり考えてみましょう。

もし、あなたが今朝、目が覚めた時、病気でなく健康だなと感じることができたなら・・あなたは今生き残ることのできないであろう100万人の人達より恵まれています。
もしあなたが戦いの危険や、投獄される孤独や苦悩、あるいは飢えの悲痛を一度も体験したことがないのなら・・・あなたは世界の5億人の人達より恵まれています。

もしあなたがしつこく苦しめられることや、逮捕、拷問または死の恐怖を感じることなしに教会のミサに行くことができるなら・・・あなたは世界の30億人の人達より恵まれています。

もし冷蔵庫に食料があり、着る服があり、頭の上に屋根があり、寝る場所があるのなら・・・あなたは世界の75%の人達より裕福で恵まれています。

もし銀行に預金があり、お財布にお金があり、家のどこかに小銭が入った入れ物があるなら・・あなたはこの世界の中でもっとも裕福な上位8%のうちの一人です。

もしあなたの両親がともに健在で、そして二人がまだ一緒なら・・・それはとても稀なことです。

もしこのメッセージを読むことができるなら、あなたはこの瞬間二倍の祝福をうけるでしょう。なぜならあなたの事を思ってこれを伝えている誰かがいて,その上あなたはまったく文字の読めない世界中の20億の人々よりずっと恵まれているからです。

昔の人がこう言いました。
わが身から出るものはいずれ我が身に戻り来る、と。
お金に執着することなく、喜んで働きましょう。
かつて一度も傷ついたことがないかのごとく、人を愛しましょう。
誰もみていないかのごとく自由に踊りましょう。
誰も聞いていないかのごとくのびやかに歌いましょう。
あたかもここが地上の天国であるかのように生きていきましょう。
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この文章から感じとるものは人によってさまざまだと思います。
知識不足の私などは単純にこの数字に驚き、改めて世界の地域間の格差を感じました。

人によってはこの文章が豊かな国の目線で書かれていて、他人の不幸で自分の幸福を自覚していると、批判的なとらえ方の人もいるようです。内容について興味のある方はウェブ上を検索するといろんなサイトで取り上げているのでそちらをご覧ください。

私が興味を持ったのはむしろ、この文章がもつ「スケール変換の手法」です。
はじめに述べたように世界という小さいようで大きい(大きいようで小さい?)ものの現状を数字でイメージできるというところ、特に前半の部分が優れていると感じます。

何百万人、何億人といわれても、桁が大きすぎてピンとこないのですが、パーセンテージで表現すること、さらに身近な100人という数に置き換えることで日常生活のスケールに近づき格段に理解しやすくなっているのです。

この文章の元になったものも最初は1000人の村だったらしいのですが、100人になったことでよりシンプルになったといえるでしょう。その分、1人未満の数字(つまり1%未満)が表現しにくくなり、後半の生の数字の記述になっているのかもしれません。



大きすぎてそのままではとらえどころがないものを、「スケール変換することでイメージしやすくする」という手法は、模型や設計図面、パース・CGなど建築の世界ではまさに設計のプレゼンテーションそのものといえます。建築では当然のことながら実物大がもっともイメージしやすく、1/1の模型を作ることが完成した空間を確認するのに最適であるのは言うまでもありません。

スケールを縮めることはコスト的・時間的・物理的な制約から行っていることといえます。しかし全てがそうというわけではなく、むしろ小さくすることで見えてくるものもあるのです。
たとえば、敷地周辺の位置関係、敷地内の建物配置、建物内のゾーニングやプランニングなどは、原寸で計画することは全体を把握することが難しいため、かえってやりにくいでしょう。

設計図がすべて原寸だったら近くで見ても良くわかりません。持ち運びは大変だし、打合せするにしても部屋の中ではできなそうにありません。
逆のケースも当然あります。小さすぎてそのままでは良くわからないことを「スケール変換の手法」を用いれば理解しやすくなります。目に見えないような化学の組成から電子部品の設計図、生物の構造などいろいろあるでしょう。



こうして我々は意識的に、または無意識のうちにスケールを変換し、日常生活のさまざまな場面で役立てているのです。

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