2012/04/03

MINI House Project 7. 風との付き合い方


やっと暖かくなってきたかな、と思っていたら、仕事のほうがかなり忙しくなってきた今日この頃。日々、一生懸命がんばってます。
今日は「風との付き合い方」というタイトルでおはなししていきましょう。









高気密・高断熱という技術は、寒冷地の居住環境を劇的に改善しました。
真冬でも少ない燃料で家中を暖かくできるため、居室だけではなく、洗面所やトイレ・脱衣場など、服を脱ぐ場所も暖かくできます。また、室内の上下の温度差もほとんどなく、頭ばかりが暑くなることもありません。その結果、身体への負担が減り快適に暮らすことができるようになりました。


南のあたたかい場所で暮らす人々は、とりあえず家がなくても、あるいは短パンとTシャツでも生きていける・・・という楽観的な思考が成り立つ環境、それがおおらかさの根底にあると思います。北の寒い場所では、それは生死にかかわる状況なわけで、とても楽観的にはなれません。それだけでもずいぶんとハンディを背負っているのですから、我が家にいるときぐらいはあたたかい環境を手に入れる、そんな多少のゼイタクをしてもよいのではないでしょうか。そのために燃費のよい高気密・高断熱という技術をうまく利用すればよいのです。

しかし高気密・高断熱も、正しい使い方をしないと夏場の室内環境を悪化させる場合があります。室内に取得した熱を逃がさないため、夜になってもなかなか室温が下がらない、という状態になる可能性があるのです。
「東西の壁」でお話しした通り、深い軒が重要な要素となります。そのほかにもスダレや落葉樹で日差しをさえぎる方法も効果的です。

これからは昔のよい部分を積極的に取り入れることが大切だと感じます。食にしても住にしても、その国やその地域で伝えられてきた文化というものには、簡単には消えてなくならない理由というか、意味があると思います。それに、夏は思いっきり窓を開け放し、家中に風を通したくなる・・・。やはりこれは日本人の遺伝子に組み込まれた本能だと思います。



さて、本題にもどりますが、新潟の四季を考えるとき、「MINIハウス」で採用している、東西を壁として南北を開口部とする形は、風通しの面でもとても理にかなっています。

新潟の夏は、蒸し暑く気温もかなり高くなるためすごしにくいものです。そんな夏を通風の面で見てみると、南北に風が通る地域が多いため「南北の開口部」を設け、室内も風が通り抜けるような間取りにしておくと効果的です。

また、新潟の冬は、北西からの冷たい風が吹きます
街中はそれほど気になりませんが、郊外へ行くと状況はかなり変わります。広い平野を持つ新潟は、みなさんご存知のように田んぼが多く、季節風を遮るものが何もありません。最近では新潟市周辺でも田んぼを埋め立てた住宅地が多くなってきていますので、この季節風は建物の計画に大きな影響を与えます。

新潟の郊外にある農家の住宅の玄関はたいてい東側にあります。まさに、この冬の風対策のためです。そして玄関の向きも東向きです。南側でも良さそうなものですが、あくまでも東向きにこだわって建てられた住宅がほとんどです。

特に風が強くなる「西高東低」の気圧配置の場合、大陸側から太平洋側に向かって強い風が吹き込みます。そのとき、北半球では反時計回りに風が集まるので、西からの風になることが多くなります。つまり、ほぼ真西から吹くという日が結構あるのです。そうなると南側の玄関では横からの風の影響を受けてしまうため、東向きにこだわる、というスタイルが定着したのでしょう。



このように、新潟の冬は西から強い風を受けるので、東西を壁として南北を開口部とすることができれば理想的だといえます。
もちろん敷地の条件によっては西や北西に玄関を配置せざるをえない場合もあります。周囲の状況をよく見て、風除けの壁を設けたり、少しまわりこんで玄関を南に向けたりと、何らかの風対策をしておくとよいと思います。

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