2012/01/23

MINI House Project 4.太陽光発電を載せるなら


ここ1・2年で急速に普及してきた太陽光発電ですが、昨年の大震災以降、日本全体が原発に変わる発電方法を本格的に模索し始めたこともあり、ますます注目度が上がっています。また身近な問題となった節電対策や、自然エネルギーの活用という意味でも、太陽光発電の技術革新は21世紀初頭の重要なテーマといえるでしょう。とは言え、安い買い物ではありませんので、個人で導入するにはそれなりの情報が必要です。

そこで、今回は「MINIハウス」で採用にするに当たり注意する点をまとめてみました。特に建築に関わる部分に目を向けてみましょう。









<屋根の種類や形状との関係は?>

太陽光発電は当然ながら日射量が多いほうが発電量が増えます。
では真夏の昼間、太陽高度が一番高いときに最も発電量が大きいか、というと以外にそうではありません。これはパネル自体が熱に弱く、高温になると発電効率が落ちるからです。

太陽の日射を最大限に受けるには、太陽光線とパネルの角度を直角に配置することが有効ですが、真夏の昼間に合わせてゆるい勾配にする必要はありません。むしろ春や秋に丁度よい角度が年間の発電量を最大にするポイントです。具体的には屋根勾配で4寸〜4.5寸がよいとされています。

方角としてはやはり南向きがベストですが、東西に振れていても45°程度なら問題はありません。建物が南向きに建てられる好条件であれば、迷わず南向きにしましょう。そうすれば、「東西の壁と南の軒」でお話しした、建物への負荷を減らす効果も最大となるからです。

ということで、屋根の形は南向きの4寸勾配にしました。

その他、太陽光発電を採用するに当たり注意する点をまとめてみましょう。



<雨漏りは大丈夫?>

建築に携わるものとしては、非常に気になるところです。いくつかのメーカーとやりとりをした結果、雨漏りしにくいものと、そうでないものがあることがわかりました。

・瓦屋根
太陽光発電には向かないのではと懸念していましたが、以外とそうではありませんでした。瓦はもともとオープンジョイントですから、瓦と瓦の間に隙間があり、1枚単位での交換ができる材料です。ですから瓦の下に専用の金具を取り付けることも比較的容易で、それにパネル用のレールを取付けます。瓦そのものに穴を開けませんので、雨仕舞は比較的良好となるわけです。

・板金屋根
後から雪止めアングルを付けることが容易な「瓦棒葺き」と呼ばれる工法。これならパネル用の金具もつけられそうな印象ですが、強風による吹き上げに対応できません。しっかりと取付するには下地の垂木に直接ビス止めする必要があるので、屋根材そのものに穴を開けることになります。穴を開ける!?・・・メーカー仕様ではパッキン等を使うことで10年保証をうたってはいますが、心配なのは10年目以降です。10年も経てばパッキンが劣化しないとは言い切れませんから・・・。

そんななか、物理的に雨仕舞を考慮した工法もあります。強度的にクリアするために垂木にビス止めした上で、流れ方向に沿ったカバーを取り付けます。これなら10年目以降でもシール材による補修が可能なので、心配は大幅に減ります。



<太陽光発電の価格>

太陽光発電を投資として検討されている方もいるとも思います。車一台分の金額がかかりますから、地球にやさしいだけではなく、家計にもやさしくなければ採用には踏みきれません。一般的な住宅の屋根に載せられる規模は3kwh程度。1kwhあたりのイニシャルコストが50〜60万円とすると150万円〜180万円ほどかかります。



<売電価格>

太陽光発電の普及を目指し、2009年に売電価格が大幅に引き上げられ、2011年3月までは1kwh当たり48円でした。現在は42円(2012年3月まで)で、その後も徐々に下がっていきますが、設置が完了し、電力会社との契約が決まれば10年間はその価格で買取ってくれる仕組みです。つまり売電価格の面では早く設置したほうが有利ということです。一般の電力料金が22円程度であることを考えると、いかに高く買取っているかがわかります。



<元が取れるか?>

もちろん設置場所や使用量によりますが、だいたい10年〜12年で元が取れると言われています。パネル自体はすでに30年以上稼働しているものもあるので簡単には壊れないはずですが、電気機器であるパワーコンディショナーは、点検等で多少費用がかかります。10年先、買取価格が下がることは間違いないでしょうが、買取制度がなくなる可能性は低いと思われますので、それ以降は発電した分の電気代がお得になるということです。

日中発電した電力はそのまま自宅で使用され、残ったものが売電されます。つまり、日中電気を使うということは、売電すれば42円で売れるものを約22円(一般の電気料金)として使うことになります。ですからできるだけ日中は電気を使わずに売電したほうがよいのです。それは同時に節電にもなるでしょう。



<オール電化との関係は?>

いまでは一般的になったオール電化。仕組みを少しおさらいしてみます。
原子力発電が稼働していた時期、大量に消費される電力に合わせて発電を行うと、夜間に電力があまってしまいます。その余剰電力を安く供給し、蓄熱タイプの給湯や暖房に利用するというシステムです。オール電化ではない一般の電気代が、1kwh当たり約22円だとすると、深夜は約8円という安さですが、その代わり日中は約30円と高くなります。

このオール電化と太陽光発電を組合わせると・・・
・大量の電気を消費する機器(特に給湯器)は夜間の安い電気でまかない
・日中は電気をできるだけ使わず、太陽光で発電した電力を高い価格で売電する
というように、かなりのメリットがあるはずです。

あるはず・・・というのは、昨年の大震災で、このオール電化システムの前提が根底から崩れてしまったからです。
つまり、前提であった原発がすべて停止する可能性がでてきたわけです。そうなると、このシステム(深夜の安い料金)が維持できるのかどうか・・・これは今のところはっきりとはわからない状況です。

東京電力では、すでに今年の4月から業務用の電力料金の値上げを発表していますし、民間の料金も上がるといわれています。そのほかの電力会社も、今後、料金を値上げせずにいられるかどうかはわかりません。オール電化とセットのメリットは減るかもしれませんが、電気料金が高くなるとすると、それを自家発電することのメリットがでてきます。

いずれにしても、太陽光発電は自然エネルギーの活用と節電意識の啓蒙という点では非常に優れたシステムであることに間違いはありません。



<停電時に使える?>

万が一停電した場合、パワーコンディショナーにあるコンセントにプラグを差し込んで使うことができます。あくまでも太陽が出ていて発電している間ですし、家中のコンセントや照明器具などが普段と同じように使えるわけではありません。ですが停電が長引くようなら、これは心強い味方になります。パワコンの設置場所にもよりますが、居間まで届く15mくらいのドラム式コードを用意しておくとよいでしょう。



<新潟でも大丈夫?>

そもそも新潟のような雪国でも大丈夫?という疑問が浮かびます。結論から言うと、新潟市周辺の平野部であれば問題ありません。パネル自体は雪が滑りますので、落ちた雪が問題にならない場所なら大丈夫。ですが、山間部の積雪量の多い地域はメーカーサイドでも販売を控えていますので確認が必要です。冬の発電量が心配ですが、概ね関東圏の9割ぐらいはあるようです。



<パネルの選択>

パネルやシステムそのものはここでは触れませんが、国産は変換効率や信頼性が高い分コストも高め、中国産を代表とする国外製はローコストのものが結構あるようです。最近はいろんな企業が代理店として太陽光発電を扱っています。しっかりとした業者と相談して、将来まで安心して自然の恵みをフルに活用しましょう。



余裕があれば自宅にも設置したいところです・・・

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