2003/12/31

目的と手段を知るべし

人が何かの「行動」をするとき、そこには必ず「目的」というものが存在します。一見、何の意味もない日常的な動作でも、そこに至るには無意識のうちに、必ず「目的」というものが生じているのです。



「テレビを見る」という行為を例にとってみましょう。

積極的に見ている人、例えばニュースやスポーツ、ドラマなどの見たい番組を見ている人は、言い換えれば「情報を入手する」という「目的」をもっています。
また、ただなんとなく見ている人にとっても「暇をつぶす」とか、「さみしさを紛らわす」というような感じで無意識のうちに何らかの「目的」をもっているのです。

もっと単純な動作、例えばデスクワークをしているとき、手を上に伸ばし「のび」をしたとしましょう。本人は無意識に行っていたとしても、そこには「身体の疲れをとり集中力を維持する」という「目的」 が存在しているのです。

そのような「目的」を達成するためには「手段」というものが存在します。これは上の例で言うところの「行為・行動」そのものです。つまり「暇をつぶす」とか「さみしさを紛らわす」あるいは「情報を入手する」という「目的」のためにあなたが選んだ「手段」が「テレビを見る」という行為だったのです。また、仕事中に「身体の疲れをとり集中力を維持する」という「目的」のために選んだ「手段」が「のび」という行為だったのです。




私は以前、ある予備校で建築士の資格を取得したい人達向けの設計製図の講義を担当していたことがあります。そこは建築士の試験に合格したいという「目的」を持った人が、そのための「手段」として選んだ場所といえます。

仕事をしながらの受験勉強は当然ハードなものとなり、目的を達成するためにはそれなりの犠牲を払わなければいけません。仲間と遊ぶ時間、デートの時間、また暑い夏には欠かせない一杯の生ビール・・・。面倒くさくなって勉強をサボりたくなる時もたくさんあるでしょう。(私もそうでした。)

でもそんな時にはもう一度思い出してみください。
「目的」は何なのか?
何のためにつらい思いをしているのか。
誰のためでもない自分のためなのです。

「試験に合格する」という「目的」の先には、「建築士としての知識を身につける」という、実はもっと大切で、なおかつ根本的な「目的」が存在しているのです。


あるいはこういえるかもしれません。試験に合格することはスキルアップのための「手段」であり、単なる動機付けであると。
試験に合格し、建築士の資格を手に入れて万事OKというわけではないのです。そのスキルを活かし自分の能力を十分に発揮して、プロフェッショナルとしてあなたを必要としている人に貢献することが大切です。




つまり一見「目的」と思っていた事柄(合格すること)は表面的な結果にすぎず、本当に大事なことはその裏に隠されているということです。
真の目的というものは目に見えない、あるいは気がつかない場合があるのです。
目的と手段の多層構造を見抜く目を持つことが大切です。

真の目的を知ることができれば、その時間をもっと中身の濃いものにすることができるのです。

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