2014/04/15

木造伝統工法は構造的に最先端かもしれない・・・

「木造住宅私家版仕様書」
といえば、木造設計に携わる方なら
一度は目にしたことがあるかもしれません。

その著者である
松井郁夫氏、小林一元氏、宮越喜彦氏が主催する
「木組み」講座で、日本の伝統工法に関する
貴重な体験をさせていただきました。

基本的な仕口。
通し柱と足固めの考え方。
桁・梁は折置きに組む。
胴差は筋交い工法の産物。
など、興味深い内容が盛りだくさんで
あっという間の1年でした。


中でも、日本の伝統的な「貫(ぬき)構造」が、
木の性質、
特に「繊維はつぶれても復元する」
という性質を生かした粘り強い構造であることや、
柱脚を固めない足下フリーの構造が
軸組に無理な力をかけない優れた工法であることなど、
目からウロコの連続でした。


国交省主催で現行法規をもとに組立てられた
「金物で固めた3階建てモデル住宅」と
「金物を緩めた3階建てモデル住宅」を2棟並べ、
阪神大震災の地震波で揺らす
という実物大の実験映像では、意図していた
「後者の倒壊」ではなく、
「前者の倒壊」という
まさに現代の建築基準法の根底を揺さぶる結果
を目の当たりにしました。


足下フリーの建物が揺れる様は
立った人がヒザを伸ばしたまま左右に揺れる感じ。
ゆらゆら揺れてどこにも負担がかかりません。
倒れない範囲であれば実に楽チン。
建物に無理な力がかからないのです。










この実験映像はお蔵入りになったとかならないとか・・・
現行法規が必ずしも最善ではない、
という問題を投げかけており
建築に携わる人間としては複雑な心境でした。


昔の民家に基礎コンクリートなどは当然なく
石の上に柱がのっかっているだけです。
地震でゆれたとき、柱がずれることはあっても
軸組に致命的なダメージを与えることはなく、
またのせればいいやという感じ。

力に対して力で反発し耐えるのではなく
揺れることを受け入れてしまうという発想。
人や社会の関係にも通じるような、
日本人の柔軟性を象徴するような考え方かもしれません。


そんな伝統的工法、逆に最先端じゃないか・・・
とさえ思ってしまいました。





 最後に、
伝統的な木組みを学ぶ一環として
1/50の模型を製作。
(これには基礎がありますけど)


今年の正月はこれにかかりきりでした〜

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